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寄贈品 №31

御知ラセ (在外財産報告書提出を勧めるはがき)

1946(昭和21)年9月29日 サイズ13.5×8.9

海外引揚同胞援護会連絡所 協生会・内山清

在外財産報告書提出の呼びかけ


 戦時中日本の占領地で暮らしていた日本人の多くは、敗戦によって持っていた土地や家などを失い、日本内地へと戻ってくることになります。帰国後、人々は当時生活していた地域で所有していた家屋・衣類・現金・預貯金・土地など動産・不動産について、政府に申告することが求められました。

 

 このはがきは、その在外財産報告書提出を呼びかけるもの。差出人である海外引揚同胞援護会で書類作成の援助をしているので、至急申し込み手続きをすることを勧めています。報告期限はひと月以内とされましたが、それを過ぎても始末書を出せば提出可能だったことが読み取れます。赤い字で添えられている文章では、「在外財産ノ一部ヲ政府二於テ賠償致ス趣キ」とあり、せっかくの財産をなくしてしまうことがないようにと訴えかけています。

 当時、様々な引揚者団体が、日本敗戦によって失った個人財産の返還や補償を求めて陳情や座り込みなどの運動を行っていました。ここで紹介した協生会も、こうした運動の一端を担っていたのでしょうか。

 

実際の在外財産報告書をNo.32で紹介しています。