· 

寄贈品 №30

在満引揚者名簿

1946(昭和21)年10月 サイズ 23×14.5、16頁

制作:香川県班 田村栄(明治45年1月生まれ。香川県出身。香川県報国農場隊隊長として渡満・引率)

1946年10月摂津丸で引揚げた香川県の人たちの名簿

 

香川県報国農場隊隊長として渡満していた田村栄さんは、引揚げ時も責任者として隊員たちを引率しました。摂津丸で引揚げることになったこの一団は、1946年10月に葫蘆島を出発し、11月に佐世保に上陸しています。

この名簿は、第1班から6班までの香川県芦屯開拓団 と香川報国農場隊の人たちの指名・年齢・下車する駅・行き先が書かれた綴りです。ページの表(おもて)には名簿表、その裏には引揚げ行動についての注意や日程、上陸してからの挨拶原稿などが細かく書かれています。

たとえば、A報国農場隊員 に対しては、夢に見た故郷に戻ってこられたことを喜び、心がけることとして「強く生き抜きましょう」と、そして「健康に気をつけましょう」と呼びかけます。B芦屯開拓団員には「苦労された敗戦後一年余りの尊い体験を生かして下さい」「人間はとかく自分が世の中で一番不幸と考えやすいけれども、内地にいてさえ親兄弟を亡くしたり、家財を失った人が数十万といる。どうか強く生き抜いて下さい」といった文言がびっしりと書き込まれています。

一方、C県(引揚援護会)とD出迎えの方に対しては、多忙、疲労―温かい気持ち、生き抜くため―協力といった項目が数行程度。

引揚げを率いる指導的立場にあった人たちの一面が垣間見られる資料です。