開館満１０周年を迎えて

本日、2023年4月25日　満蒙開拓平和記念館開館から満10年となりました。

館長より、開館10年にあたってご挨拶申し上げます。

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　全国で唯一の満蒙開拓に特化した記念館として「満蒙開拓平和記念館」が開館したのは２０１３年（平成２５年）４月のこと。早いもので満１０周年を迎えることが出来ました。これも偏に、１０年前の開館実現に向けてお力添え頂いた皆様方、そして開館後も熱心に支えて頂いた多くの皆様方のご支援､ご協力等の賜物と厚く御礼申し上げます。

　満蒙開拓は当時、国策として強力に進められ、官民多くの人々が関わった歴史であり、また日中双方含め多くの犠牲を出した歴史でもありました。それらが故に、いわば不都合な歴史として、戦後、あまり語られることの少なかった歴史でもあったと思います。

　当記念館は、その埋もれつつあった歴史を少しずつ掘り起こし、これまで語られることの少なかった歴史を体験者の皆さんの体験談や各種資料の収集、分析、そして現地調査等も重ね、満蒙開拓に関わるその多面的な実相を戦後世代の人々も含めて広く知って頂けるよう、小さな積み重ねを続けてまいりました。そして、これらの積み重ねは、明日の平和の構築に向けての大きな財産となるはずです。

　また、この３月に記念館開館１０周年記念、並びに記念館開設の中核母体となった飯田日中友好協会の創立６０周年を兼ねての中核事業として開催された王希奇画伯作の『一九四六』展は、開催期間中、予想を上回る２,１９４人もの皆さんにご来館頂き、旧満州からの日本人引揚げの様子を克明に描いたこの大作から多くの人々が感動を受けると共に平和への思いを新たにすることが出来ました。このことにもご関係各位に対し厚く御礼申し上げます。

　多くの犠牲を悼みつつ、その複雑な歴史を振り返る中で培われてきたこの多くの教訓から学び、更に平和への学びを深めていくために、記念館は次の１０年に向けて、また新たな一歩を踏み出したいものと思います。そして開館時からの思い、この伊那谷から世界に向けて平和を発信する「小さくともキラリと光る記念館」の実現を目指し、皆様と共に「平和の種まき」を拡げてゆきたいものと思います。

　今後も当記念館への絶大なるご支援、ご協力の程を重ねてお願い申し上げ、開館満１０周年を迎えるに当たっての御礼とご挨拶とさせて頂きます。

２０２３年（令和５年）４月２４日

                                                          満蒙開拓平和記念館　館長　寺沢 秀文