靴
長さ22×幅(一番広い部分)8 布製
引揚げの時、中国人が作ってくれた靴
長野県下伊那郡川路村(現飯田市川路)送出の川路村開拓団に行っていた伊原勲(いさお)さんご一家。この靴は、伊原さんたちが日本へ帰ってくるときに現地の中国の人が作ってくれたもので、勲さんのお母さんが持ち帰ったといいます。
満蒙開拓は、満州に住んでいた中国や朝鮮の人たちの土地や家を奪う形で進められたところが少なくありません。また、日本人にいじめられたり、傷つけられたり、殺されたりした人たちもたくさんいます。ソ連参戦と日本の敗戦によって、その怒りの矛先は主に北満に残された開拓団の人々に向けられることになり、現地の人々による襲撃が相次ぎました。しかし、そうやって攻撃してくる人たちばかりではなかったのです。避難の準備を手伝ってくれた人、途中でご飯を食べさせてくれた人、置き去りにされた子どもを引き受けて育ててくれた人…。広い心でもって日本人を助けてくれた人たちもまた大勢いたのでした。伊原さんに靴を縫ってくれた中国の方は、いったいどんな想いでこの靴を作ってくれたのでしょうか。
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