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慰霊祭 館長あいさつ

2020年8月10日 慰霊祭 館長挨拶

 

本日は大変お暑い中を、当記念館の「鎮魂の夕べ」の慰霊の場にご参加頂きましたこと、誠にありがとうございました。

この記念館での「鎮魂の夕べ」も7年前の開館以来、毎年この時期に多くの皆様方のご参加により執り行ってまいりましたが、今年はこの春からの新型コロナウィルス感染症拡大等を受けて、この慰霊祭も規模を縮小して関係者だけでの開催といたしました。

そのような中での開催ではありますが、今年はあの戦争が終わってから75回目の夏となります。

75年前の昨日、8月9日、突如のソ連軍侵攻が始まり、旧満州の地にいた開拓団の人々は、守る軍隊も無く、青壮年男性たちは根こそぎ動員によりみな軍隊に取られ、開拓団に残っていたのは女性、子供、老人ばかりとなっていました。

 

あの年の旧満州の夏も今年と同じように雨の多い夏であったと言います。

雨の中を、あるいは猛暑の中を逃げ惑い、多くの犠牲を出した満蒙開拓の歴史。

日本人だけでなく現地の人々等も含めて多くの犠牲を出してしまった満蒙開拓の歴史は、例え75年の歳月が過ぎようとも、あるいは今年のようにコロナ禍という異常なことが起きた中であったとしても、決して風化させてしまうことなく、しっかりと語り継ぎ、日の平和のための教訓として役立てていかなくてはならないものと改めて思います。

 

全国で唯一の満蒙開拓に特化した記念館として開館した当館も、皆様からの多くの暖かいご支援の賜物によりお陰様で開館8年目となりました。

多くの皆さんにご来館頂き、そして今日も松川高校の生徒の代表の皆さんもお見えですが、こうした若い皆さん、後継者の皆さんも育ちつつあることは私どもとしても大いに励みとなるところでもあります。

これからも満蒙開拓の歴史、それは決して日本人側の犠牲、被害ばかりでなく、同時に現地の人々等にも多大な犠牲も強いてしまったという加害の面等をも含めて、国策として押し進められた満蒙開拓の様々な史実を共に学び、共に語り継ぎ、明日の平和実現のための「平和の種まき」としていかなくてはならないものと改めて思います。

 

このことを旧満州の地に眠る全ての犠牲者の皆様の御霊にお誓い申し上げ、鎮魂、慰霊の言葉とさせて頂きます。

 

2020年8月10日       満蒙開拓平和記念館 館長 寺沢秀文